■子供時代
知らない土地へ行くのが大好きな子供だった。
小学生時代。夏休みになると父の車に揺られ、いろんなところへ出かけた。
大きな空、広い海、潮の香り、どこまでも高い山々、満天の星、空を舞う赤トンボ、若葉の香り…
目に飛び込む風景、全てが新鮮で、新しい発見がある度に胸が大きく飛び跳ねた。
それは近所や学校では決して出会うことのない、未知の世界ばかりだった。
山を見上げ「あの山のてっぺんからどんな風景が見えるのか?」
道を歩き「この道をどこまでも歩いていったらどこへ辿り着くのか?」
抱えていた好奇心は、無限大に広がっていった。
小学5年生。サイクリング車を手に入れると、行きたい場所へ自力で行けるようになった。
友達と、時にひとりで、山、川、湖、海…いろんな場所を目指して、ペダルを踏んだ。
自転車は僕が最初に手に入れた自由な翼だった。
■バイクとの出会い
自転車で峠越えやツーリングに明け暮れた10代。
バイクには全く興味がなかったが21歳のある日、
ひょんなことから原付スクーターを手に入れた。
走り出した瞬間、後頭部に激震が走った!
「おおおっ、こんなおもしろい乗り物があったのか!」
スロットルを捻るだけで大きく加速。
今まで乗っていた自転車の感覚と全然違う、
「バイクならどこまでも、無限に走り続けられる」と本気で思った。
さらに大きな翼を手に入れた僕は、23歳の夏、
10代の頃から夢に見ていた日本一周をバイクで実現させた。
それは夢のような日々だった。
日本を旅した後は、もっと広い海外を夢見るようになった。
「360度の地平線をバイクで走ってみたい!」
熱い思いが膨れ上がった僕は、50ccバイクによるオーストラリア一周を計画。
資金作りのための節約生活が始まったが、
オーストラリアを走っている自分の姿を想像すると、どんなことでも我慢できた。
6ヶ月かけてオーストラリア一周と縦断を成し遂げた。
バイクはボロボロ、ホイールは傷だらけ、フレームは歪み、マフラーは抜け落ちたが、
そんな全てが僕にとっては旅の勲章だった。
■バイクで世界へ
自分で計画、ひとつのことを成し遂げたことは、自分にとって大きな自信となった。
オーストラリアの後は「50ccバイク世界5大陸」と夢はさらに拡大。
国産最小サイズのバイクによる3大陸走破、スクーターによるシルクロード横断、
夫婦バイク2台で地球縦断など、次々と新しい旅にチャレンジした。
普通に考えると50ccバイクの小さな車体、速度、非力なエンジンなどは短所に思えるが、
実際に旅をしてみると、そんな弱点が実は大きな魅力であることに気が付いた。
小さいバイクは威圧感がないため、子供たちが安心して集まってくる。
そして走る速度が遅いので走りながら、周りの人たちの表情がよくわかる。
小さなバイクのお陰で、その土地に深く交わることができるのだ。
もちろんパワーがないから砂漠では簡単に砂にはまってしまう。坂も上らない。
苦労が多いが、その代わり難関を乗り越えたときには、喜びが何倍にもなって返ってくる。
50ccバイクの旅は感動で溢れているのだ。
■電気バイクと巨木
50ccバイクによる世界5大陸の旅を終えると、次なる目標・チャレンジを模索した。
そんなとき偶然、書店で見つけた巨木の写真集に僕は大きな衝撃を受けた。
人がミニチアに見える程大きな木、4000年以上生き続けている木等々
写真集の巨木達はどれも強烈な個性を放ち、エネルギーに満ちあふれていた。
「こんな木がこの地球に存在しているのか!?」 という驚きと同時に、
この巨木達に会いたい、直接触れてみたいという気持ちで胸がいっぱいになった。
その数ヶ月後、日本の巨木をたずねる旅に出た。
2ヶ月で日本を縦断。この旅の途中で電動バイクが発売されたことを知った僕は、
世界の巨木へ会いに行くのは、排気ガスを出さない電動バイクがふさわしいと考え、
電動バイクで巨木をたずねる世界一周の旅を計画した。
準備期間2年、旅に足かけ4年を費やし、世界各地の巨木たちをたずね歩いた。
世界各地で出会った巨木達はみな生命力に満ち溢れ、僕にたくさんの元気をくれた。
地球で最も長く生き続けている生命「巨木」。
巨木をたずねる旅は、まさに地球に残された宝物を探すだった。
■旅と写真にできること
僕に大きな感動を与え、世界の巨木達の元へと導いてくれたのは巨木の写真だった。
一枚の写真がスゴイ力を持っていることを、この旅で改めて知ることとなった。
巨木、地平線、砂漠、ジャングル、極地、野生動物、異文化、道、笑顔…
振り返ると僕の様々な分岐点に、写真があった。
そして写真から、夢、希望、愛、微笑み、幸せ、喜び…いろんなものを受け取った。
僕自分もこれまでの旅を写真として記憶、発表を続けてきた。
写真のチカラ。
一枚の写真が人生を、もしかしたら世界までも変えてしまうかもしれない。
写真はスゴイ力を持っているのだ。
僕はいま、写真に無限の可能性を感じている。
続けてきた旅、そして写真を通して、僕にできることは何なのか?
僕はひとつの答えに辿り着いた!
2009年1月 藤原かんいち |
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