原付で世界一周をした旅行家・藤原かんいちが電動バイクで世界一周へ!

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〜 旅 立 ち へ の プ ロ ロ ー グ 〜

巨木に会いたい

 2002年。桜の花が舞う4月。僕は立ち寄った本屋で、世界の巨木を紹介する本を偶然手に取った。そして何気なくページを捲ったその瞬間、一枚の写真に目が釘付けになった。 「すごい! これが木なのか!」 僕は世界の巨木が放つ巨大なパワーと、見る者を圧倒する存在感に大きな衝撃を受けた。
 そしてページを捲るほどに、世界中の巨木に会ってみたい、そして触れてみたい、という熱い思いがどんどん募っていった。本の中の巨木たちはどれも生命力に満ちあふれていて、まるで砂漠の宝石のように輝いた。そんな巨木たちを眺めているうちに、世界の巨木に会うことが僕の大きな夢になっていった。
 いてもたってもいられなくなった僕は、まず日本の巨木をたずねることにした。巨木の存在を調べてるうちに、自分の国にも素晴らしい巨木がたくさん生きていることを知ったからだ。
 そして僕は妻とふたりで1台の小さなバイクに跨り、北は北海道から南は沖縄まで、いまを生きる様々な巨木をたずね歩いた。数千年生きている巨木や、20階ビルほどの高さもある巨木との出会いなど、まさに感動の連続であった。
 この旅によって僕の中の「世界の巨木たちをたずねながら世界一周をしてみたい」という思いは益々強くなっていった。

電動バイクとの出会い

 そんな巨木をめぐりの最中、とんでもない衝撃な僕を襲った。以前から興味を持っていた電動バイクが、ついにヤマハから発売されたというビックニュースが飛び込んできたのだ。
 すでに原付バイクという最小サイズのエンジン車で世界一周を成し遂げていた僕は、次はまだ経験したことのない新しいスタイルで世界一周に挑戦したいと考えていた。そこに絶妙なタイミングで100%電気で動くヤマハ・パッソルが登場したのだ。この知らせを聞いた瞬間「よし、次の旅はこれしかない!」と興奮したことを今でもよく憶えている。
 そこには未知なる乗り物で世界一周に挑戦したいという好奇心と同時に、排気ガスを出さない地球環境にやさしい電動バイクこそが、地球生命のシンボルである巨木をめぐる旅には相応しいのではないかという思いがあった。
 そして実際にヤマハ・パッソルに跨った瞬間、僕の熱い思いは最高潮に達した。バイク独特の排気音がまったくない、聞こえるのは微かなモーター音だけ、まさに別世界だった。森を走っていると鳥や虫の鳴き声が聞こえるくらい、静かなのだ。これには心から感動をした。それはこれまでのガソリンバイクでは出会うことのできなかった、新しい世界をパッソルが僕に見せてくれたからだ。
 「よし、この電動バイクに乗って世界中の巨木をたずねよう!」僕の意志は更に固まっていった。

新たなる挑戦

 ところが…旅の実現に向けて計画を練り始めてゆくうちに、この旅は難題が山積みであることがわかってきた。とにかく電動バイクによる世界一周の前例がないため、未知の部分があまりに多かった。
 事実、試走で富士山ツーリングを行った際も、携帯した交換用バッテリーや充電器の総重量が20kgを越えてしまい、予想以上に走行距離が減少。残量ギリギリ、冷や汗タラタラで目的地に辿り着いたことが何度もあった。さらに、膨大な荷物を背負っていたため体力消耗も想像以上だった。
 また携帯できるバッテリー数に限界があるように、移動距離にも限界があることもわかった。交換が可能になったとはいえバッテリー1本フル充電で進める距離は約15km。次に充電場所まで200km近くも離れているオーストラリアなどではどうしたらいいのか!? さらに最高時速は40km以下(パワーモード)、1日の移動距離はおそらく自転車並だろう。
 かなり難しい旅になることは想像できたが、逆に僕はやる気に燃えていた。それは、先の読めない困難な旅だからこそ、挑戦する価値があると思っているからだ。簡単に実現できることにどんな魅力があるのだろう。リスクや困難が大きければ大きいほど、成し遂げたときの感動や喜びも大きくなるはず。僕はそう信じているのだ。
 
  そしていつの日か、町中を走る電動バイクの姿が当たり前の時代が来たときに、「ワシが電動バイクで初めて世界一周したときは、そりゃあもう大変だったよ、なにせ1回の充電で進めるのが15kmじゃからなぁ…グハハハハ…」そんな笑い話ができたら、それはそれで最高なことじゃないかと、僕は思っている。

2003年11月 藤原かんいち

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